面接で必ず聞かれることになる「転職理由」ですが、前職を退職したネガティブな理由をポジティブなものに置き換えるために「キャリアアップしたいから」と答えると良いという意見を聞くことがありますね。確かに「キャリアアップのための転職」というのは転職理由として間違いではないのですが、その意味も良く知らずに使うと逆に面接でマイナスイメージを与えてしまうこともあります。
<「キャリアアップ」の意味>
そもそもこの「キャリアアップ」という言葉の意味を正確に捉えている人は意外に少ないのではないでしょうか。よく似た言葉に「スキルアップ」というものがありますが、この両者の違いを正しく答えられるでしょうか?「スキルアップ」とは「スキル=技術や知識、能力」を訓練によって更に「アップ=高める」ことで、「キャリアアップ」とはそのようなスキルを活かして自分の「キャリア=経歴」を「アップ=高める」ことです。つまりキャリアアップはスキルアップを前提としてこれによって経歴を高めることを言うわけです。ここで言う「経歴」とは何も企業や職種を変えることで追加されていく職務経歴だけでなく、同じ企業に勤めながら担当する業務内容やポジションが変わることによる「経歴」も含まれます。
<転職理由に「キャリアアップ」という言葉を使いたいなら>
従って、この「キャリアアップ」という言葉の意味をよく理解せずに漠然と「キャリアアップしたいから御社に応募しました」と言ってしまうと、面接官としては「前職でキャリアアップはできなかったの?」「ウチ以外にもこの業界で活躍できる企業は沢山あるけど?」「ウチでしばらく働いた後、また『キャリアアップ』のために次の転職先を探すのでは?」などといった疑問や不安要素が発生してしまいます。この疑問を払拭する為に「ではあなたの言う『キャリアアップ』とは何ですか?」と聞かれて具体的に答えることができなければ、面接官も「何だ、具体的なビジョンはないのか」「実際には大した理由ではないんだな」と考えて採用を見送ってしまう可能性がでてきます。従って、転職理由に「キャリアアップ」をアピールするのであれば、具体的にどのようなキャリアアップを描いているのか、また何故以前の会社ではそのキャリアアップが見込めないと思ったのか、そして同業種の中でも何故応募先の企業が自分のキャリアアップビジョンに合っていると思ったのかを明快に伝えることができるようでなければならないでしょう。